独り言


.スローフードのすすめ
  (朝日新聞「声」欄投稿原稿 一部修正加筆)
                

 去る2002年7月2日のNHKテレビ番組で、イタリアの「スローフード運動」の特集があった。私はつい最近、近くの公民館で開催された寿教室で、お話をした折り、スローフードに触れたばかりだったので、特に関心をもって視聴した。

 スローフードとは、ファーストフード(ハンバーガーやおむすびなど立ち食いや持ち帰り用の食べ物など)に対する言葉である。今日、私達の生活は余りにも忙しくなっており、結果ばかりを追求して、その過程を考えようとしない傾向がある。

 人間が生きる上で一番大切な食事についても、ある程度美味しくて、お腹が太れば、それで良い。冷凍食品をレンジでチンして簡単にすます。家族全員を車に乗せて、ファーストフードのお店へ乗り付け、家族一人一人に好きなものを選ばせて弁当を持ち帰る。台所にはまな板もない家があるとか。
 これでは若者にも成人病が増えるのは当たり前である。その上、おふくろの味として受け継がれた地域の伝統文化は忘れられる。そして昔からある、その土地特有の食材も栽培されなくなる。

 イタリアでは「豊かな食を求めて」のスローフード運動が15年前から続いているというのだから素晴らしい。今日ではこの運動が世界中に広まって、45カ国(8万5千人)のNPOがあるそうだ。
日本もその中の1国に入っており、ホームページの検索欄には東京、宮城、名古屋、宮崎などのスローフード協会の活動が載っている。
 私達はもっと自分の健康維持増進法を考え、日本古来の伝統的食文化を見直すべきである。その土地で栽培された、安全で新鮮な食材を選び、愛情と手間暇をかけて作った美味しい食事をとる楽しみを取り戻すさなければならない。もともと日本人の食へのこだわりは有名である。美味しくて安全な食材を求め、地域の旬の食材を味わおう。そして家庭や地域の伝統的な味を若い子供達に伝えよう。
そしてできれば、食事は家族が揃ってゆっくり味わって食べたいものである。

独り言 目次へ戻る