地域の珍しい樹木 ラクウショウ

ラクウショウという樹木の名前を聞いても、普通の人には何のことか全く見当がつかないのではないだろうか。筆者の場合、20年近く前に生涯学習指導者研修活動の「ひかり名木百選」巡りで一度現地を訪ねて、自分の目で見て、写真を撮ったりしたにも拘らず、過日テレビでラクウショウのニュースに接した折、どのような樹木か分からず、植物に詳しい人に尋ねることになった。
その人の説明によると、ラクウショウは周南市の緑地公園と光市の冠天満宮南参道入り口前の公園にあるということで、以前に研修の仲間と光市のラクウショウを見に行ったことを思い出した。
それにしても、ラクウショウという樹木は本当に珍しい。漢字では「落羽松」と書くそうだ。別名ヌマスギ(沼杉)、アメリカミズマツと呼ばれ、周囲に気根がニョキニョキと出ている。

もともと北アメリカ原産で、北アメリカ東南部やメキシコに自生しており、明治時代に日本に入ってきたようである。

[1]周南市のラクウショウ

周南市のラクウショウは、周南市緑地公園(元京都大学試験地)の沼地に数本見られるということで、2016年12月10日に現地を訪ねて写真を撮影する。山口植物学会評議員 南敦著「ひかり名木百選」によると高さは12m ぐらいのようである。下から見ると陽の光を浴びて、赤茶けた葉っぱが美しく輝く。根元は草が生えていて良く分からないが、気根を見つけることは出来なかった。
その道を万葉の森に沿って奥の方へ少し上ると、同じように赤茶けた葉っぱが輝く、ラクウショウに良く似た樹木群が現れた。名札を良く見ると、メタセコイアの樹林である。
ラクウショウとメタセコイアは良く似ていて区別が出来にくい。上述の「ひかり名木百選」及びホームページなどによれば、樹皮は茶褐色で、樹皮のはげ方はスギやメタセコイアと同じように縦に薄くはげる。高い樹木の上方を仰いで見ても遠目では区別が難しい、
両者の相違点は、(ア)ラクウショウの枝や葉は互生であるのに対して、メタセコイアの枝の出方が対生であり、メタセコイアの葉は大きくて対生である。
(イ)ラクウショウには気根が出来る。
(ウ)果鱗の先の形が異なる。ラクウショウの方は四角っぽい楯形。メタセコイアは横に長くて、中央がへこみ、人の唇に似ている。

*参照 <果実によるラクウショウとメタセコイアの区別>
http://zasshonokuma.web.fc2.com/ragyo/ra/rakuusho-metasekoia/rakuusho-metasekoia.html

[2]光市のラクウショウ

光市のラクウショウは光井三丁目、冠天満宮南参道入り口前の公園に2本ある。その右側(東側)のラクウショウは大きくて、珍木として「ひかり名木百選」に選ばれている。樹高:16.3m 幹周:1.60m 枝張:東西 5.6m 南北 6.5m
2016年12月16日に現地を訪ねてみると、赤茶けた、高い大木が堂々と聳えて、100m離れた国道188号線からでも良く見える。根元の地面を見れば,水路(溝)に沿って、20cmから13cmぐらいの気根がお地蔵さんのようにあちこちに生えている。

[3]柳井市 新庄のラクウショウ

新庄のラクウショウは柳井市大字新庄1177−1に生えている。2016年12月8日に現地を訪ねる。田布施町八和田から農道を入り、大波野、余田、新庄へと走れば、遥か手前から赤茶けた大木が左前方に見えてくる。北側にあるアクティブやないに通じる道との交差点から少し柳井側に寄った、屋敷森の中に聳えている。
入り口の前の路側帯が少し広くなっており、車を駐車出来る。入り口の所に案内看板があるけれども、草ぼうぼうである上に、歳月が経って、文字も薄れ、消えかかっていて読みにくい。
そこで判読出来ることとホームページなどから分かることは、次の通りである。
市指定天然記念物  新庄のラクウショウ 一本 並びに気根群
昭和56年9月17日指定
目通り幹囲:3.15m 高さ:18m  別名:アメリカミズマツ
明治34年(1901)に植え付けられたものと伝えられる。
問い合わせ:柳井市役所 生涯学習課
Tel:0820-22-2111
ホームページ:新庄のラクウショウ並びに気根群
http://www.yanaicci.or.jp/yanai/nature/rakuusyo.html
草の生えている入り口を通って、目指すラクウショウに近づいてみると、「やないの名木」の案内板が立っている。あたりは草ぼうぼうであり、ラクウショウの枝葉が茂っているので、薄暗くて良い写真は撮れない。少し離れようとしても、ラクウショウの直ぐ傍に古い家屋があるので、カメラアングルを考える余裕はない。そこから山茶花の高い生け垣の外に出てみると、屋敷の前の草を刈った道路の肩に20cmぐらいの気根が生えている。早速写真を撮る。そして生け垣の前の草を掻き分けてみると、山茶花の生け垣の下に30cmぐらいの大きい気根群が5本並んでいる。びっくりし、大喜びでカメラに収める。更に探していると、植え込みの傍に15cmの可愛い気根を1本発見する。前の道の土手には、先程見つけた気根の他にもあちこちに小さい気根が見える。しかも、中には草刈りの折に草刈り機で切リ取られたと思われるような株が数個見られる。
前の道を本宅の入り口の方へ進むと、石ノ門柱に「愛育園」という表札が彫り込まれている。
この家は、昔庄屋であったということを聞いたことがあるが、ひょっとすると古い伝統のある屋敷で、このような珍しい樹木ラクウショウが植えられたのかも知れない。昔の様子を良く知った人にお逢いしたいものである。
それにしても、このような珍しい樹木がこの3箇所に見られることは本当に興味がある。周南市の場合、元京都大学試験地だったので、珍しいラクウショウとメタセコイアがあることは容易に納得出来る。しかし、柳井市と光市の場合、互いに比較的に近い場所にどうしてこのラクウショウを植えたのだろうか。両者の間には何か深い関係がありそうである。

最後まで見てくださいまして有難うございます。もし、間違いや気になる点がありましたら、どうぞ下記のメールアドレスへお知らせください。皆様のお声をお待ちしています。

e-mail:tfujisan786@mx5.tiki.ne.jp

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